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(2003/08/28) |
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姫路の海を知っていますか。直線距離で東西十八キロに及ぶ姫路港。神戸に次ぐ県内第二の海の玄関です。そこには工場だけでなく、砂浜もヨットハーバーも釣り堀もあります。何より、波間に夢を描く人がいます。城ではなく、沖を見つめる海人(うみびと)たち―。彼らが起こす「浜風」を伝えていきます。 |
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8.ポートセールス 推進協事務局課長
水田 裕一郎(みずた ゆういちろう)さん(39) |
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「姫路市の仕事の約4割が、
この港で生まれているらしい
ですよ」。
姫路青年会議所の副理事長も
務めている=姫路港・飾磨港区 |
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中国航路を開きたい |
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神戸港が近すぎる―。県内第二の海の玄関でありながら、国際港の印象が薄い姫路港。「神戸とコンテナで勝負しようと思えば、横綱と序の口ほどの差がある」。行き交う船を眺めながら、水田裕一郎はつぶやいた。「ただ、姫路が勝つ方法もあります」。地方港を世界に開く挑戦は、マンモス港とのし烈なコスト競争の始まりだった。 |
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貨物船が発着する飾磨港区。粉体貨物の山があちこちに点在し、コンテナが整然と並ぶ神戸港とは趣を異にする。「姫路港は、製鉄に使うコークスやガラス原料の珪砂(けいしゃ)など、バラ貨物で神戸に対抗してきた」。後背地の鉄鋼所などが消費を下支えしてきたことに加え、交通至便な環境で、コンテナ貨物は神戸との陸送で対応できたからだ。 |
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しかし一九九五年、阪神・淡路大震災が起こる。 |
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マンモス港との競合を嫌い、「あえてコンテナを避けてきた」姫路港は、わずか六十キロしか離れていない神戸港を補完できなかった。コンテナは、大阪港はもちろん、名古屋や横浜にも流れた。 |
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県や市、海運業者らは翌年、「姫路港ポートセールス推進協議会」を結成。十億円かけて中島ふ頭に多目的クレーンを設置するなど、港湾設備を拡充し、四年後に姫路港初の海外コンテナ定期航路を実現させた。韓国・プサンとつなぐ、週一回のシャトル便。プサンを中継して、上海や天津など中国の港とも結んだ。 |
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「韓国航路なら勝てる」。プサンまでの海上運賃は神戸からとほぼ同額。そのため陸送分の経費が浮いた。二十フィートコンテナの場合、一本で一-二万円の違いが出た。「路線バスと同じで、安い定期便ができれば、荷主は自然と使うようになります」。便数が少ないことと、クレーンの荷役効率が悪い点で課題はあるが、積み荷は順調に伸びているという。 |
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しかし今、状況は新たな展開を見せている。「神戸・大阪が狙うスーパー中枢港湾の申請が通れば、港湾使用料を一気に下げる可能性がある」。わずかなコストの違いが港勢を決めるため、関係者は戦々恐々。国が姫路と室蘭を特定重要港湾から外す候補に挙げているうわさもあり、設備投資の面でも予断を許さない状況になっている。 |
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協議会は昨年、地元企業に港湾利用のアンケートを取り、検討した。「多くの企業が欲しいのは中国航路です」。神戸に逃げているコンテナを取り戻すのが狙いだ。「未開発な部分があるから新しい挑戦ができる」。水田は、逆境に負けてはいない。 |
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(敬称略) |
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【姫路港の貿易】 姫路税関支署の2002年の調べでは、輸出入の貿易総額は約3781億円(前年比3%増)。内訳は、輸出が約1224億円(同16・9%増)、輸入が約2556億円(同2・5%減)で、輸入超過となっている。中国への輸出は、有機化合物・プラスチック・鉄鋼が前年より約2割増え、約274億円。外国貿易船の入港は1115隻で前年より103隻増加した。 |
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